Previous Post | Top | *** |
TOC
以下が、正しい対応かどうかは、私は保証できません。
青色申告+確定申告
去年は9月末に給与生活者の会社員生活を終えたので、医療費控除などの「確定申告」のみならず、「青色申告」にも税理士さんにお願いせずにチャレンジしました。
この背景の私の青色申告のモティベーションは「退職後の超短時間の散発的な業務に関する少額の外貨収入を不申告でトラブルわけにも行かない」です。私がいつも散髪をお願いしている散髪屋さんによると、「税理士さんは年間20万円ぐらいかかるだけで楽だしい良い」とのことでした。これは典型的個人事業主案件のルーチン作業だからで、外貨での支払いや外国語契約やが絡むとこうは簡単に街の税理士さんにこの値段でお願いできないし、会社にいたときのような海外対応できる大手税理士に頼めるほどの状況でもありません。
税理士さんを頼むほどではないとはいえ青色申告の控除は魅力的なので、必要要件の「複式簿記」を満たすべく自己責任でGnuCashの利用で青色申告に対応することにしました。税理士さんの知見を使い必要経費が落とせて節税できる状況があれは別ですが、私はそこを追いかけないのでこれで十分です。
ちなみに、e-taxは、去年使っていた給与生活者用の「確定申告」のリンクからスタートし入力したデーターは、「青色申告」の方から入って作るデーターに後からマージできないので要注意です。結局、「青色申告」のリンクから初めて、ほぼ同様の様式のページに行き着き、すべて手で再入力しました。
e-TaxがWindows専用問題
e-Taxソフト(WEB版)を使うのがDebianでの基本です。
公共性が求められる国家機関のサービスが、十分な理由なく特定ベンダーの有償製品のWindowsオンリーに限定のみのサポートと表示されている現状には懸念があります。
この「サポート」の件は無視します。あくまで「これ以外で使用禁止」などはないので、間抜けな制約は、PCブラウザーのExtensionで、Windowsのふりをすれば、最近のPC WEB(Debian)+携帯(iPhone)で十分乗り切れるということが、2022年度確定申告の際に判明しています。
ふるさと納税関連
ふるさと納税関連のデーター入力は、マイナポータルで連携していたので、仲介業者のXMLデーターが使えて楽でした。
医療費控除の処理
医療費控除も、マイナポータルで連携していたので、健康保険組合のデーターが使えて楽なはずでしたが要注意でした。
- 医療機関からのデーターで、修正申請関係が、ほぼ確定申告時に反映されていない。
- 健康保険組合のデーターだけだと、非保険の治療(歯科関連)が抜けている。(当たり前ですが)
- 健康保険組合のデーターだけだと、控除対象の交通費がリストアップされていない。(当たり前ですが)
健康保険組合の医療費データーは、かなり間抜けな構造(XMLをCSVに落し込んだ感じのテキストファイル)で、集計シートに読み込むのにスクリプト前処理をし、LibreOffice上で表計算を使いながら実際の領収書と照合し整形しました。最後は国税庁提供の医療費集計フォームにLibreOfficeでコピペで張り込みアップロードしました。医療機関名の20文字制約等、要注意です。
スクリプトによる前処理は、私のgithubにあるformmedスクリプト を、医療費(家族毎別々に取得)のCSVファイルのあるフォルダーに置き、以下で対応しました。
$ ./formmed < FILENAME.csv
クレジットカードの取引履歴の取り込み
カードからの取引履歴は、確定分と予定分で書式が違ったり、外貨取引やポイント割引の記載が混在していたり、カードごとに特例情報があったりします。CSVファイルからの数字は読み込めるのですが、GnuCashへの転機が意外と面倒です。医療費データー用のフィルターをベースに、クレジットカード用の前処理フィルター等を後日作りました。
- formvisa: VISA card SMBC系VISAと大丸VISAカードに対応 (スケルトンバージョン)
- formsjis: SJIS CSV analysis SJISのCSVファイルの分析用
参考にした先人のウエッブページ
GnuCash を利用して帳簿をつけたり青色申告することを書いた、先人のウエッブページで面白かったものを以下に記します。
- GnuCashで決算 (2023-01-03) 実務的な期首・期末処理手順(簡潔)
- てすの暮らしの知恵 (Search=gnucash) リンク先は宣伝多いことあり
- Days of speed: GnuCasH記事集
- Hideo Saito さんのorangeProse の Startup記事
- 平成26年度確定申告のタイムアタック (2015-03-13) 2年目(簡潔)
- GnuCash ―― 決算整理と期首整理 (2014-03-22) 初年の記録(詳しい)
- [StartUp003]GnuCash用TKC互換・個人事業主勘定科目配布です (2013-03-23) DROPBOX link切れ
- 日本語訳: GnuCash ガイド
Gnucash を使った複式簿記の準備
GnuCashは、数学的なところはしっかりして、会計処理が分かっていれば上手く使えるのかもしれませんが、素人にわかりやすいWizardのようなサポート機能はない感じで、実務的な売掛・買掛処理などのやこしい機能の使い方や、e-Tax経由での青色申告の際に必要な期首・期末の会計年度間処理は少々ハードルがあります。この点は、先人の情報を参考にして考えました。ただ、先人のウエッブページを読んでも何が本当に良いのかよくわかりませんでした。
Gnucash の使い方各論は、私の過去のGnuCash使用経験が基本です。
「売掛」問題
記帳は発生主義で行わなければならないため、支払われる事が確定した日で記帳をします。だから、安易な現金ベースのみでの入金管理ではなく、売上や購入を「売掛」「買掛」などの資産項目で伝票発行や受取時にタイムリーに記帳することが大事です。
- FREEE 会計の基礎知識: 現金主義・実現主義との違いや適用場面をわかりやすく解説
- 弥生 経理お役立ち情報: 発生主義とは?現金主義・実現主義との違いをわかりやすく解説
- MoneyForward クラウド会計: 発生主義・現金主義・実現主義の違いは?青色申告での注意点も解説
気になったので、年度末の商品提供が終わり伝票発行済みの「売掛」を年末に前倒しして「損益」に落とし込む処理をするのと、「売掛」という資産項目のままとの結果の違いを比較しました。当たり前ですが、後日入金時に微小ではあるが発生する送金費用まで前倒し処理すると、資産項目のままより損金がその分増えた以外は、損益計算書の結果は変わりません。一方、貸借対照表はかなり様子が違いました。前倒し処理をしたので売掛金が手元現金(実際には事業主貸し)に置き換わっていました。
「売掛」などさえちゃんと入力すれば、無理に前倒しにしなくても良かったみたいです。
為替レート・送金手数料
TTMレート(仲値)を使うのが基本です。データーは、みずほ銀行のヒストリカルデータ―がCSVで使いやすいようです。
勘定項目によっては特定の他勘定項目に転送ができないがありました。(自己資金間?)
請求書
GnuCashの 請求書(Invoice) 作成機能は使っていません。
契約上、Fee(料金)とは別にReimburse(還付)するとされていた立替金は、その趣旨に従って為替のスプレッドのロスがなく円が受け取れるように、TTBレートを採用して別途Excelで作りPDF化して先方に送付しています。
GnuCashの帳簿へは、米ドル建ての数字を転記しています。
入金する額は、途中の送金料が取られてINVOICEより毎回$20.00だけ少ない額がドルで銀行口座に入っていました。不可避なようなので、差損はその時点で損金処理としました。
期末処理
先人の情報と、私の過去のGnuCash使用経験から考えて採った手順を以下に簡潔なメモとし残します。
- 年初を超えてもそのまま同じファイルを使い続けてもいい。
- 去年の帳簿のまとめは1月にすると想定。
- 「編集」->「設定」->「会計期間」で開始日を「前年の開始日」に、終了日を「前年の終了日」に設定する。
- 見やすい出力をHTMLへのエクスポート経由で保存(これで青色申告のe-Taxのウエッブサイトで書き込むデーターはほぼカバーしているはず)帳票(レポート)出力は以下:
- 必ず上の「オプション」ボタンを叩きで、範囲や対象が正しいことを確認すること
- 「帳票」->「勘定科目集計」(こっちが、上記会計期間に対応している)
- 「帳票」->「取引出納帳」-> 表示内容を設定ダイアログで設定し作成(勘定項目別にした日付順の全記帳リスト):期間指定可能
「帳票」->「資産・負債」->「一般仕訳帳」(記帳日順の単純な全記帳リストだが、期間指定できないのでイマイチなのでこれを使わない)- 「帳票」->「取引出納帳」-> 表示内容を設定ダイアログで「ソート」を「日付順」に設定し、実質的に「一般仕訳帳」を作成可能:期間指定可能(タイトルは後で変更する)
- 「帳票」->「資産・負債」->「総勘定元帳」-> 表示内容を設定ダイアログで「ソート」を「日付順」に設定しても、実質的に「一般仕訳帳」を作成可能:期間指定可能(タイトルは後で変更する)
- 「帳票」->「資産・負債」->「貸借対照表」
- 「帳票」->「収益・費用」->「損益計算書」
- 「帳票」->「収益・費用」->「収益・費用チャート」(月次棒グラフ+数字表、表はオプションで有効化、月別の収益・費用が読み取れる)
- 「帳票」->「収益・費用」->「収益チャート」(収益タイプ別円グラフ+数字表、表はオプションで有効化、内訳が読み取れる)
- 「帳票」->「収益・費用」->「費用チャート」(費用タイプ別円グラフ+数字表、表はオプションで有効化、内訳が読み取れる)
- 必要に応じて、上記以外で必要なグラフも作成
- 印刷用には、エクスポートされたHTMLを整形しPDF印刷出力とすることをしている人が多い
- もとのGnuCashのデーターは必ず残すこと。 (電子帳簿保存法への対応)
正直、本来の「一般仕訳帳」の帳票が期間指定できないのでイマイチな状況の背景は意味不明です。
この時点で青色申告できる情報は揃ってます。
- 「当期利益(損失)」の計算は「収益合計」ー「費用合計」のe-taxサイトの青色申告記載の際にそのHTMLページ表の中で自動計算できます。
期首処理
- 新ファイルの準備
- 今期の帳簿を開いた状態で、「ファイル」 > 「エクスポート」 > 「勘定科目をエクスポート」で、次期のファイル名でエクスポートして、空のGnuCashファイルを作る。
- 今期の帳簿を開いた状態で、「ファイル」 > 「エクスポート」 > 「取引をCSVにエクスポート」 で、移行したい1月1日以降の範囲のデーターをCSVファイルにエクスポートする。
- 空のGnuCashファイルに、「勘定科目をインポート」し、更に取引をCSVファイから「GnuCashの出力形式」としてカラム設定してインポートします。
- 設定を開き、会計期間の開始日付と終了日付などを設定する。
- 資産・負債・資本の科目の残高を、反対科目の「前期繰越」で埋める。
- 「日付」は今年度の1月1日
- 「説明」は後で分かるように入力。とりあえず「XXXX年度期首処理」と入力
- 「資金移動」は「元入金」科目
- 黒字の場合:「貸方」に「前期利益」の金額を入力
- 赤字の場合: 「借方」に「前期損失」の金額を入力
- 資産・負債・資本の科目の残高を、反対科目の「前期繰越」で埋める。
ただ、上記の期末処理法なら同じファイルを使い続けるのもありの感じです。損益の「元入金」科目への移動は1月1日付でするのかな?
電子帳簿保存法へのコンプライアンス
納税関連文書の電子保存で改ざん防止上必要となるというタイムスタンプを、有料の業者サービスを使わずに、領収書などの文書をタイムスタンプを押して保存するフリーソフト環境下での手法を考えてみましが、どうも無償では良い手はないようです。
確かに、「教えて!!令和3年度改正 電子帳簿保存法 (pdf)」のP9にある要件、「NTPサーバーによるタイムスタンプ」を「自己が管理しないクラウドサービス」を見て気づいたのは、これにメールサービスが利用できないかなということです。頭で、「スキャンデーター等を添付したメールを作成」、「DKIMの署名をつけて送信するメールサーバーを通して送信」、「保存用メールアカウントに保存」すれば、メールサーバーがNTPデーターによりタイムスタンプしているし、メールサーバー運用会社が持つ秘密キーを用いてメールを署名しているので改竄防止されて上手くいく気もしました。でも、現実は甘くなさそうでした。
そこで、「タイムスタンプが必要なのか?」に戻って考えたところ、意外に簡単でした。
国税庁の、電子帳簿保存法:電子取引データの保存方法をご確認くださいによると、実質的に『「タイムスタンプを付与」「訂正・削除の履歴が残るシステム等での授受・保存」といった方法』は必須ではなく、『「改ざん防止のための事務処理規程を定めて守る」といったシステム費⽤等をかけずに導入できる方法もあります。』とまで言い切っています。検索要件も、小規模事業者は実質的に綺麗にフォルダーに整理されてすれば十分なようです。
ちなみに、入手したメールやレシートPDF等のデーターはbtrfs上に置き、タイムスタンプ付ROスナップショットをbssスクリプトを使って取ってます。
参考:
- 個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について
- 電子帳簿保存法関係
- よくわからないが、最初から電子データーの書類はそのまま保管で良い。
- 帳簿などはPDF・JPEGでの保存では不十分で、元データーやCVS等の検索可能なデーター保管が必須
- 法第4条((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))関係
- 電子帳簿保存法一問一答 (pdf)
- 令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて
タイムスタンプサーバの情報
- freetsa.org
- Gist: List of free rfc3161 servers
- RFC3161 COMPLIANT TIME STAMP AUTHORITY (TSA) SERVER Free?
- Free Timestamp Server No Service Level Agreement
- タイムスタンプサーバの情報
- https://stackoverflow.com/questions/69016131/code-signing-which-timestamp-servers-are-more-reliable)
- https://stackoverflow.com/questions/65541786/is-the-verisign-timestamp-server-down
- https://stackoverflow.com/questions/2872105/alternative-timestamping-services-for-authenticode
上記に関連する情報サイト集
納税・フリーランス関係サイト
- 確定申告お役立ち情報
- 開業の基礎知識
- 自分で法人税申告 法人化すると、地方税も申告するみたい。それなりに稼ぐと、消費税も含めすることは多い。
国税庁の税金関連サイト
- 国税庁 確定申告書等作成コーナー
- 医療費を支払ったとき – 通院交通費(バス・電車はOK)
- 医療費データーはLibreOfficeで作成したEXCEL形式ファイルのアップロードが可能
- はじめてみませんか? 青色申告(pdf)
Previous Post | Top | *** |